ご挨拶
第23回日本ミトコンドリア学会年会
大会長岡﨑 康司
2024年1月吉日
このたび、第23回日本ミトコンドリア学会年会を2024年11月21日(木)から23日(土)までの3日間、順天堂大学本郷キャンパスにおきまして開催させていただく運びとなりました。ミトコンドリアを対象とした科学研究は、近年の新たな生物学的役割の発見と、ミトコンドリアの機能異常が多くの病気に関わることから、益々の発展が大いに期待されています。本学会はミトコンドリアに関する研究発表・知識交換、国内外の他学会との連携を通じ、共同利益の増進を図ると共に年々発展を遂げてきました。伝統ある本学会のお世話をさせていただきますことをまことに光栄に存じます。
2020年から世界中を席巻した新型コロナウイルス感染症の広がりで、学会会場において対面でディスカッションするという従来は当たり前だった学術集会の開催形式は、オンライン主体のスタイルに変更になりました。オンライン形式の学会は、参加しやすいなどのメリットがある反面、学会会場におけるネットワーキングといった人と人のつながりを広げ、深化するという学術集会が持つもう一つの大切な役割が発揮できなくなっていました。2023年から新型コロナ感染症の5類移行に伴い、対面での学会活動も増えてきて、やはり対面でのネットワーキングのありがたさを実感できるようになってまいりました。このたび開催させていただく学術集会も十分な感染対策を講じながら、皆が直接顔を合わせて意見交換できる学術集会にしたいと考えております。
そこで、本大会のテーマは「ミトコンドリアが紡ぐ基礎と臨床の架け橋」とし、基礎系・臨床系の研究者が一同に集い、今後のミトコンドリア研究と臨床応用について自らもつ夢と情熱を交換できる場にしたいと思っております。ミトコンドリア機能異常はあらゆる臓器障害をもたらすため、神経・筋疾患、先天代謝異常症、糖尿病、腎疾患、肝疾患、心疾患、眼科疾患、耳鼻科疾患等、あらゆる疾患の診療・研究に関わる医師・研究者が、領域横断的に幅広く参加するのが本学会の特徴です。また細胞内オルガネラとしてのミトコンドリアがライソゾームやペルオキシソームなどの他の細胞内オルガネラと協調しており、ライソゾーム病やパーキンソン病、感染症さらには老化疾患などの病態に関わっていることも議論できればと考えています。今まさに、神経・筋疾患領域をはじめとした臨床現場では、かつて不治の病とされた疾患に対して、基礎研究の成果が臨床実装に結びつく時代に入り、大きな変化が起きています。ミトコンドリア病治療薬の開発の現状などもしっかりと見据えた議論ができればと考えています。
日本ミトコンドリア学会は、若手の育成についても真摯に取り組んでいることから、2024年の本大会においてもサテライトとして若手を中心とした発表の機会も設ける方向を考えております。ぜひ、皆様に積極的にご参加頂き本会を盛り上げて頂けることを期待しております。